2006-11-18
時

胸の真ん中に窓が開いたんだ
向こうには晴れ渡った空が見えた
窓を乗り越えてそっちに行ってみたよ
そしたら、そう、その実時計があった。
大きな大きな振り子時計だった
僕はその時計を見上げた
時計の針は止まっていたんだ。
時計の文字盤を開けてみると
中には筋肉のような骨のような内臓のようなものが
赤く、ぬめりとした輝きを放ちながら、確かに息づいていた。
この実時計は「時を止める事」に、筋肉と骨を目一杯使ってるんだ。
時計にとっては、「進むこと」より「留まること」の方がより、高尚な行為だそうだ。
古時計のみずみずしい内臓はそれを物語っていた。
文字盤を閉じて大きな実時計に一礼し、
僕は広大な栗畑の方に歩いて行った。
「そうか、答えなんてもともとあったんだ」
[武盾一郎→山根康弘] 2006-11-18 16:39
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